どんな会社に入社しても、良い上司にばかりめぐり会えるとは限りません。入社して数年でやめるのは、社風が合わないだけではなく、最初の上司に恵まれなかった例も沢山あります。


特に証券会社は顧客の資産運用から得る手数料収入が収益の重要な部分を占めているので、
常に営業マンは「会社の利益と顧客の利益」の両立という理想の壁に跳ね返され苦悩します。
最終的には、会社から給料を貰って競争社会を生き抜くには、あまりにも経済の変動が激しく、どんな下げ相場でも収益追及のペダルを踏み続けなければならない社員と立場では「理想の営業」を貫くことは無理という結論に達しました。

金融庁が規制緩和で個人にも、投資助言業・投資仲介業を認めたのは、会社の営業方針やノルマに影響されず、顧客の利益のみを追求できる営業のあり方を求める背景があったものと思います。

大手証券の二つの地方拠点で、若いときに良い上司・悪い上司の両極の下で学んだ「逆転の発想」は、どうすれば顧客の信頼を勝ち取るかの一点でした。証券会社の担当者がどのような上司の下で育ちどのような対顧客のスタンスを持っているか見極めが必要です。

会社と上司には仕事で仕える。
会社と上司には仕事で仕える。上ばかり見ていても殆どの上司がやがてすぐにいなくなり、引き上げてもらえるほど上り詰める上司はほんの一握りだからである。所詮仕事もしないで引き上げてもらおうと考えること事態無理がある。しかしある程度まではゴスリが功を奏す至近な例もたくさん見てきたので、これは上に立つものの資質の問題である。
率先垂範
上に立つものはよく「率先垂範」事に当たれといわれる。部下が一番嫌がること、手をつけたがらないこと、出来っこないと思われる程大変な努力を要することを先頭に立って成し遂げて見せることで、敬愛の念とある種の畏怖心を抱かせることも大切である。
しかるより褒めちぎれ
営業には本来持っている適性、向き・不向きがある。出来が悪いものを叱っても向上は難しい。しかし、どんな人間でも自分はこれなら出来ると思っている良いところある。これを引き出して、出来たらうんと褒めてやる。その営業マンの明るい顔を見ているだけでもチームは活気が出てくる。
チームの総合力で勝つ
駅伝ではないけど、チームの中に一人二人優れた選手がいてもチームが勝てないのと同じで営業マンもピンからキリまでいる中で総合力を高めるためには「あいつはだめだ」と見限らないで一人ひとりのポイントを高めることが必要である。
功績はすべて部下に
部下の失敗は全部引き取り、功績は全部彼等に戻す。これが分かれば彼等は失敗を恐れずに働くので結果として高収益が達成される。
公私混同はチームワークの敵
営業チームの団結の最大の敵は公私混同である。特に上に立つもののそれは示しがつかない。どんな些細なことでも公私の区別を明白にし、部下に対してはすべからく公平に対処することが肝要である。アフター5に仕事を持ち込まない、酒やマージャンなど無理強いしない。部下には仕事以外で余計な気を使わせない配慮も大切である。
顧客第一主義は後から収益がついてくる
会社の収益第一主義の顧客不在の営業はやがて信用を失い、ジリ貧になるのは目に見えている。顧客の利益最優先の姿勢で臨めば顧客の信頼とともに、収益も後からついてくる。大手金融機関でもこれが出来ていないところはトラブルが多発し、行政処分を受けマスコミをにぎわすことになる。
ノルマに追われない努力をする
ノルマ(収益目標)は営利企業である以上、現在でも営業社員の20%程度しか達成できないほど高いところに設定されている。大半の社員は達成できず、これが事故などの原因になっている。ノルマに追われない営業マンになるためにはライバルの3倍5倍の努力をするのは当たり前のことである。
営業マンは商品を売る前に自分を売れ
営業マンは会社の方針に従って商品を売ることに血眼だが、商品を前面に出しても売れるものはよほど信頼性の高いものだけである。しかし株式や投資信託等流動性の高い商品は営業マン自身を売り込み信用を勝ち取ることが先であることを忘れてはいけない。信頼を勝ち得た営業マンが薦める商品が売れた時、顧客は営業マンその人を買ってくれたのである。
相手の本音は飲食をともにして聞け
顧客でも、部下でも良いコミュニケーションを保つには飲食を共にする機会を持つことである。おいしいものを食べたり飲んだりしているときは、一番心を開いていて本音に近い話が聞けるからである。そのための投資は安いものである。

これがぼくの「逆転の発想」の原点です。どれも対極に主軸を移し変えるだけですが、結構難しいことでした。この経験と対応がその後の人生の中から僕の証券投資の哲学が生まれました。

余談ですが僕の営業マン30年間の顧客開拓について競争に生き抜くために何をやったか、若いときの日記の中から面白いものを取り上げて整理してみます。
新規開拓はまず、自分を売り込め
新規客を作るのは人の3倍5倍の努力はもちろんですが、いかに相手の頭の片隅に強い印象を植えつけるかの工夫も必要です。競争相手とは違う何かを印象つければ第一印象が良くなり、アポイントが取りやすくなります。会えたらこっちのものです。初面談にこぎつけるまでが勝負です。ひとたび信頼を勝ち取ることに成功すれば、僕の奨める商品はすんない受け入れてもらえるからです。
新規開拓の確率は千三つ
油田は千本掘って三本あたれば成功といわれます。新規開拓も同じで、断られることから始まります。僕はこの低い確率に挑戦し、1日100本の電話をかならず新規にかけ続けました。99本で止めると最後の1本で引っかかることがあるので、機械的に100本かけることが必要です。
名刺交換後はすぐ後から「○○さん」と相手の名前で会話する
パーティには出来る限り出席してたくさんの名詞を交換する。僕は20〜30枚交換したらすぐにトイレに駆け込み数分で名前とその人の特徴を記憶します。記憶術は自分にあった方法を編み出すことです。パーティでは人は移動しております。どこに移動していても相手の名前で呼びかければ当然相手は僕の名前は覚えていないので、「先ほど名詞をいただいた△△です」と一発で相手に名前を覚えてもらえる。「後日お邪魔させてください」といっておいても確実にアポは取りやすい
夜討ち・朝駆けは当たり前
訪問外交には相手の一番ゆとりのある時間を探すことです。門前払いを食らわないために僕は夜討ち、朝駆けを良くやりました。非常識だと怒る客もありますが、「まこんな時間によく来たね、とにかく上がりなさい」のほうが多かった記憶があります。                  ある大会社の社長の書いた人生に関する本を読んで感銘したので、調べたら趣味は読書で休日は家にいることが分かりました。思い切って日曜日飛び込みをやりました。2〜3時間話し相手になってくれ、話しの合間から近々大きな資金需要があることを知りました。これはインサイダーにも当たらないことなので自分の部署で翌日大量にその会社の株を買いました。暫くしてその会社が株主に有利な増資を発表し大幅に上がりました。要は相手の暇な時間を探すのもアタックの基本です。
使える伝手は全部利用しろ
僕は学校の先輩など使える伝手はすべて使いました。卒業した大学へ乗り込んでいって、もちろん金融機関がしっかり抑えている大学の資金を一部まわしてもらうことに成功しました。それが縁で僕の結婚式には総長がお祝いに出席してくれました。また新規支店の開設を何をやってもいいから成功させろと任されたと時も大会社の副社長だった先輩を訪ね数億円の資産を預かることに成功しました。物怖じせずにどうせ行ってもだめだと思う前に行動することだと思います。
見込み客には熱心さと誠意を売り込め
初対面から何度か会っている間、相手はこちらを色々観察しています。初めて取引をしてもらえた時の最初の言葉で一番多かったのは「君の熱心さに負けたよ」で次が「誠実そうだから」でした。そこで「一流会社の社員だから」という言葉は聴かれなかったと記憶しています。名詞を見れば分かることだからです。
顧客は最終的にはこちらが選べ
顧客と営業マンは相性が合わなければ良いビジネスが続きません。いくら取引が欲しくても相手の条件ではやりません。取引するかしないかの判断は僕自身で決めました。こちらの営業姿勢を貫くためには、媚びらない、お願い外交はしないと決めておりました。それによって約定の取り消し、利益補填などのトラブルに巻き込まれないからです。
見込み客の見切り時は「ナンパ」と同じ・熱心としつこさは紙一重
いくら追求してもだめなものはだめです。そこから先は無駄な努力になります。熱心さとしつこさは紙一重です。押しの一手で迫った後は僕は一歩下がることにしていました。相手から「暫く来てないね」などといってくれば関心がある証拠です。そのまま音沙汰なければ、また電話で明らかに居留守と分かればその時点で見切ります。所詮千三つです。            
これは「ナンパ」と共通点があります。第一印象が大事なこと。少しは熱心に追いかけること。何度か声をかけたら一歩引くことです。目的を持って歩いていたり、関心がない場合はそのまま行ってしまいます。女性の心理も熱心に声をかけてきたのに途絶えると「どうしたのかな?」振返ることがあります。
少なくともまっすぐ行ってしまう人よりは交渉の余地があります。その後いかに数少ないチャンスをものに出来るかです。僕は新規開拓はゲーム感覚でやっておりました。だめでも落ち込まないからです。
取引開始後は実績の積み重ねあるのみ
取引が始まったら、プロとして顧客と遣り合っても実績の積み重ねに徹することです。営々築いた信用もわずかの不始末でも吹っ飛んでしまいます。納得ずくの損得はトータルで見られるので別です。顧客からの質問が僕の専門外で、的確に答えられなかったら、分からないことは分からないといって後から的確なレポートを渡します。知ったかぶりやごまかしは信頼を失うことにつながります。
新入社員は2〜3年じっくり基礎を築け
新人研修が終わって半年、1年経つと競争原理が働き始めあちこちからどこの支店のだれだれが大きな商いをしたとかという話が流れてくるようになります。誰言うとも無く○○年入社の星とかはやし立てられ本人も有頂天になって地道な努力を忘れ、一番頼りにされる中堅になった頃にはうわさにも上らない者たちも沢山見てきました。                     本来会社は入社して2〜3年は実績など求めておりません。将来背負って立つ力をじっくり蓄える時期で、周りを気にせず営業の本質を学び、新規開拓に邁進すればよいのです。    半年1年で戦力と考える上司が居たとしたら新人を育成するゆとりも無い彼等の姿勢が問われるべきです。金の卵を大きく育てるのも上司の大事な仕事です。
会社人間になるな・肩書き取ればただの人
よく会社の肩書きに自分で酔っている人がいます。そうしたタイプの人は肩書きが外れた時世間が肩書きにちやほやしていたのを忘れて振る舞い、やがてその落差が埋めきれずに沈んでいったのをたくさん見てきました。肩書きは会社を代表していることの自負と、肩書きどおりの実力・能力を持ち合わせていることの証明です。その自信は肩書きが取れても困ることは何もありません。
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